2015年8月5日水曜日

PLA2(フォスフォリパーゼA2)に着目し、がん治療ではPLA2(+)の場合にはCDPコリンを。そしてCDPコリンがEBMの弱点を浮き彫りにする。

結論1:Serum secretory phospholipase A2-IIa(以後PLA2と略す)ががん患者の予後を大きく左右する文献が出ている。

結論2:PLA2を阻害するCDPコリンはすでに認知症などで確立された療法で、特にPLA2活性が有るがん患者へのCDPコリンの投与が、(プロトコルの整備が必要なものの)生存期間を倍にする可能性を秘める。

結論3:EBMでの考え方ではCDPコリンが標準治療になることは無い。


元論文:こちら


グラフは肺がん患者の生存曲線(カプランマイヤー)である。生存率が高い方はPLA2活性が無く、低いほうがPLA2活性がある。

そして、論文内では他にも表があり、III・IV期の人ほどPLA2(+)の割合が高い結果になっている。

             PLA2(+) PLA2(-)
肺がんI・II期       24      84
肺がんIII・IV期      48      24

また、同論文では肺癌組織におけるPLA2の高発現は、上述の生存率・ステージだけでなく、転移・術後再発と深く関連していたと報告している

他にも、こちらの論文からは血漿中のPLA2活性がが複数のがん患者で健康な人に比べて高いことを報告しています。

つまり下記のようなステップでCDPコリンはがん治療に大きな影響を与える可能性がある。
1)PLA2とがんの関係性で疫学的な統計をとり、
2)PLA2(+)のがん患者へCDPコリンの投与で生存率がよくなるかを研究

ですが、1)はともかく2)は日本のEBMでは実現せず、CDPコリンを民間療法として良心的なクリニックが投与するのみとなるでしょう。

なぜなら(アメリカでは企業でなく国が研究費を出すことはあっても、)日本では企業も企業自身の利益が見込めないため研究費を出さないからです。

幸いにも統合失調症・認知症・パーキンソン病などでPLA2とCDPコリンについてある程度研究が進み、治療にも応用されています。

今後統合失調症などにCDPコリンを投与した研究を解析した際に「偶然」CDPコリンを摂取している人のほうが癌の原発・転移・再発や癌の予後が良いことが分かるかもしれません。