2014年11月12日水曜日

本当にインチキとはこういうこと。抗癌剤治療

結論:「インチキ・トンデモ療法の見分け方」と「ハーセプチンは普通の信頼できる療法」が両立しない

久しぶりに酷い投稿を見たので記事にします。(2015/9/17追記)



http://www.slideshare.net/nkatsuma/ss-41243021
(2015/9/17リンク切れを確認、下記URLを参考にしてください
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=98604

上記URLに『「抗がん剤は効かない」は本当か?』のスライドがあります。

この中の34スライド目を引用します。

引用ここから>>>

「がん患者を食い物にするインチキ治療」を見分けるコツ
1.○○免疫クリニック、最新○○免疫療法
2.○○%の患者に効果
3.体験談が載せられている
4.保険が効かない高額医療
5.奇跡の○○治療、末期がんからの生還

<<<引用ここまで

そして同じスライド集の10スライドにはハーセプチンが1例として挙げられています。


このハーセプチンですが、1998年に米国でFDAが認可されてから、「奇跡の薬」・「特効薬」としてマスコミに紹介され、2001年に日本で認可されました。

このハーセプチンですが、その作用機序は免疫が関わっており、日本で認可された当時は最新の免疫療法でした。

このハーセプチンですが、さきほどの10スライド目にあるように、8.8%の患者に効果があると論文で報告されています。

さらに、日本での認可前後でハーセプチン体験談は多く語られています。

ハーセプチンはその製造法故に、治療費が高額で、約20万円/月(保険適用で約6万円/月)かかります。今でこそ保険適用されましたが、非常に高額な治療費となっています。

ここで改めて整理します。


ハーセプチンは「がん患者を食い物にするインチキ治療」なのか?
1.(保険認可当時は)ハーセプチンは最新免疫療法
2.(論文の報告によれば)8.8%の患者に効果
3.(保険認可当時は)体験談がたくさん載せられている
4.(保険が認可されるまでは)保険が効かない高額医療
5.(保険認可の前後では、マスコミが)奇跡の治療薬、末期がんからの生還を謳う。

あれれ?ハーセプチンはインチキなんでしょうか?

【追記】
http://joushiki3.blogspot.jp/2015/09/httpjoushiki3.html

↑に追加記事を書きましたが
「インチキ・トンデモ療法の見分け方」と「ハーセプチンは普通の信頼できる療法」が両立しない、ということです。

なぜならインチキ・トンデモ療法の見分け方を使うとハーセプチンがインチキ療法になってしまう。
逆にハーセプチンがインチキではないならインチキ・トンデモ療法の見分け方がインチキになる。




2014年11月6日木曜日

ダイエットに関する非常識

結論1:リスクはあるものの、SGLT2阻害薬はダイエット効果がある。
結論2:ダイエットでは必ずしも一般常識が通用しない。
結論3:カロリーゼロの甘い飲食物は、結果的に肥満を引き起こす。

注)文中にカロリーゼロの飲料水とありますが、カロリーゼロの甘い飲料水のことです。一部の清涼飲料水や一部の缶コーヒーがそれにあたります。

<SGLT2阻害薬>
まず、SGLT2阻害薬とダイエットの話から。

・メリット
→腎機能に大きな欠陥が無い限り必ずダイエット効果が見込める。

・ディメリット
→感染症のリスクが上昇
→検査で糖尿病(糖尿)と誤診断される可能性が高い。
→長い期間での運用データがほとんどないので、長期的な副作用がわかっていない。

我々人間は、原尿が腎臓の尿細管を通って、糖やアミノ酸や水分を再吸収して、最終的な尿ができます。SGLT2阻害薬はそのグルコースの再吸収を阻害するため、腎臓が作る尿にどんどん血中の糖分が出て行きます。そのため、腎臓の機能に欠陥がなければ、必ず体内の糖分が尿に出て行くのでダイエット効果があります。

尿を作る過程でダイエット効果が発生するので、たくさん水分を摂ることでダイエット効果が増強されます。

ただし、糖分を含む尿は細菌にとって非常に良い環境なので、尿路感染症には注意し、トイレのあとはよく洗って清潔にしましょう。

また、長期的な運用データも少なく、どのような副作用が発生するか不明です。



<ダイエットに常識は通用しない>

世の中ダイエット産業と言われるほど大きな市場がありますが、多くの方がダイエットに失敗しています。
これは、万人に通用するようなダイエットの方法が確立されていないということに他なりません。

なぜダイエットが失敗するのか。
それにはいくつかの要素がありますが、間違った情報を基にダイエットをしているのが大きいと私は思います。
それは、医学の発展とそれに伴う近年のダイエット産業の規模を考えるに、医学知識としてはダイエットに必要な物は出揃っているが、それを正しく使えていないという私の考え方から来ています。

例えば・・・

「健常な人が空腹時に1)運動をするのと、2)安静にするのと、どちらが空腹感を和らげるか」を考えてみます。

通常、ダイエットを試みる人はある程度の医学に関する知識を持っています。
それは・・・
「空腹は血中の糖濃度(血糖値)が下がると発生する」
「人は糖を消費することでエネルギーを作り出し、運動することができる。」
と言った感じでしょうか。

この2つの知識の基、「空腹時に運動すると、平時より下がっている血糖値がさらに下がって、より空腹感を強める」という結論を導き出せます。
実はこの考え方は結果として誤っています。

なぜなら、空腹時には血糖を上げるためのアドレナリンやコルチゾールなどの体内の信号が出ていて、その信号に刺激された細胞が、脂肪やタンパク質からエネルギー(糖)を生産します。
その時にウォーキングでもよいので体内の血行を良くすると、通常はほとんど信号が行かない部分にも脂肪やタンパク質から糖を作る信号が行き渡り、血糖値が上昇、それを脳が感知して空腹感を和らげます。

ですので、空腹時の運動は空腹を和らげます

充分な知識があればダイエットは効率よく行えます。
ですが、かじった知識程度では逆効果です。

その典型例が、「充分な知識無しでダイエットコーラを飲むと太る。普通のコーラのほうがまだ太らない」です。


<ダイエット飲食料は肥満を助長する>

「ダイエットする際に、カロリーを気にする。」のは大切です。ですが、それだけを気にして、コーラを毎回飲んでいた人が、ダイエットコーラを飲むと結果として太ります。

カロリーオフ、またはカロリーゼロの飲料水で太ったという研究結果はあっても、痩せたという研究結果はありません。もちろん、私が見落としているかもしれません。ですが、ダイエット飲料水の開発会社が、自社の飲料水で痩せる研究結果が出たら、それを全面に出してPRするでしょう。またカロリーをコントロールした飲料水が本当にダイエットの助けになるなら、業界がこぞって研究結果を鼻高々でアピールするでしょう。

実際にCMや業界の主張には、痩せるという研究結果は無く、「言わなくてもわかるだろうけど、カロリーをコントロールしているから理論上痩せるんだよ」っていうものだけです。

幾つか論文がありますが、まだ研究途上の分野であることから、論文へのリンクは避けます。(論文のタイトルを希望する人はコメント下さい。)

遺伝学から発展したエピジェネティックスな考え方ですが、人の体質は遺伝だけでなく、後天的なもの(胎内を含む)も非常に大切ということが医学的にわかってきました。
マウスの実験で胎児のうちに母体にコリンを摂取させた子マウスの脳が非常に発達し、数々のマウスの実験のレコードを更新しました。

また、毎回太った白いネズミを生むマウス夫婦のうち、母マウスに人がサプリとして摂るような栄養を充分に与えると、茶色い痩せたマウスが生まれる研究もあります。この研究では、胎内での栄養状態が悪いと、太りやすい体質になり、栄養状態がよいと痩せやすい体質になることがわかっています。
理論的には、「母マウスが栄養状態がよい=外界は食食料に困らないと胎児の遺伝子が判断」→「エネルギーを貯蓄しない体質」→「痩せたマウスが生まれる」、「母マウスの栄養状態が悪い=外界は食料に困ると胎児の遺伝子が判断」→「エネルギーの貯蓄に重点をおいた体質」→「太ったマウスが生まれ、ちょっと食べすぎるだけでさらに太りやすい」という説が一般的です(まだまだ研究途上の分野)。

つまり、人の体質も環境によって非常に変わります。
空腹時にカロリーゼロの飲料水を飲むと、脳は「甘いもの=糖分」が入ってきたと勘違いします。実際には糖分は入ってこないわけで、脳は「これはまずい」と思い、さらに空腹感を増強します。そして、脳は体が糖分を摂取しているのに吸収できないと判断して、体質を「何でもかんでもエネルギーはできるだけ貯蔵する」体質に変化させます。

つまり、カロリーゼロの飲料水を単独で飲むと「より空腹感が強まり」「太りやすい体質」になります。
結果として「カロリーゼロの飲料水は更に強い空腹感を作り出して、太りやすい体質に変化させるため、肥満が加速する」となります。

次回はちょっと気分を変えて経済的な話に入ろうかと思います。


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2014年11月5日水曜日

論文から見るエボラの治療と対策

結論1:セレンを摂る
結論2:栄養状態を良くする
結論3:抗酸化能力を高い状態にしておく。

論文の紹介から。

土壌のセレニウムの濃度が低い地域からエボラ出血熱・SARS・HIV・豚や鳥インフルエンザの流行が始まっている。[10339392]

HIV・SARS・エボラ出血熱などのRNAウイルスはセレンの不足している宿主に感染すると免疫が低下、ウイルスの悪性化が起きやすい。逆にセレンの経口摂取で宿主の免疫が回復し、ウイルス悪性化率の減少につながる[21318622]

また、(免疫面で)栄養状態がよい欧米に住んでいる人の死亡率が低いのは医療関係者の間では周知の事実である。

抗酸化能力を高い状態にして、常に多くの抗酸化力をストックすることで、高い免疫力が維持できる。
特にエボラウイルスの増殖時には、これらの抗酸化能力を作る物質を大量に消費してウイルスの大量生産を行うので、抗酸化能力の切れ目=エボラ出血熱の重篤化になる。



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