2014年10月16日木曜日

カルシウムは有害な栄養素で骨粗しょう症の治療に1%も役にたたない。

世の中の常識が非常識

結論1:カルシウムは有害な栄養素なので、大量にとったり、単独で摂ると体に悪い。
結論2:骨粗しょう症を防ぐのに最も良い栄養素はビタミンCである
結論3:カルシウムを多く摂取するときはマグネシウムも多く摂取する。

骨粗しょう症を防ぎ骨を強くするためにカルシウムをたくさん摂るとよい
NO!体に悪い。

カルシウム単独のサプリメントは体に良い
NO!体に悪い。

牛乳は骨粗しょう症を防ぐ
NO!むしろ骨粗しょう症を悪化させる。

端的にいって、世界では理解しやすいことだと間違っていても支持されやすい。

「カルシウムは骨にとって大事。」という情報を元に、
「骨が弱いのを強くするにはどうしたらいいか。」と考えると
「骨を強くするためにカルシウムを摂ろう」という流れになりやすい。

なぜなら非常に分かりやすい理論だからだ。

もちろん、理論を元に予測・予想したことが正しいことは多くあるが、
現実には理論通り行かないことが多々ある。

そうした場合には理論と統計(経験)で正反対の結果になることがある。
その代表例がカルシウムである。


カルシウムの補給によって骨折の減少を示した研究の多くは
通常800IUのビタミンDを同時に補給させていて、
400IUでは着実な成果を得られないとしている。
(Jackson et al., 2006[16481635]; Bischoff-Ferrari et al., 2005 [15886381])

そして適切なビタミンD単体でも確実に骨折の件数を減少させる。
(Bischoff-Ferrari et al., 2012 [22762317]; Rizzoli et al., 2013[23320612])

”カルシウムの摂取量が最も多く、
カルシウムをサプリメントで
摂取も行っていた女性のグループは、
カルシウムをサプリメントで摂取しなかった
女性のグループに比べ、総死亡のリスク
が2.5倍も高くなっていた。”
(Michaelsson et al., 2013 [23403980])

こういう統計(経験)と理論では、
少なくとも私は統計を信頼する。


これらの理論と統計が逆転するのは下記の理由となる。

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通常、骨は体全体のカルシウムの約99%が存在していて、
血液、細胞外液、細胞質のカルシウムは、
体内全てのカルシウムのうち、たった0.1%である。

骨の形成・破壊にはカルシウムも関係しているが、
それは最低量で十分であり、
それよりも酸化ストレスレベルが
骨の形成と破壊に影響している。

骨粗しょう症では、
その99%を占める骨のカルシウムが
カルシウムが非常に少ない血液にどんどん流れだす。

つまり、骨粗しょう症のほとんどでは
血中のカルシウム濃度は上限までいっており、
細胞外液に溢れたりしてカルシウムが沈殿したりしている。

そして細胞質のカルシウム濃度の増加は
体への悪影響を広範囲で及ぼす。(後述)
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骨粗しょう症では、すでに血中のカルシウム濃度は限界まであがっており、
カルシウムをとっても骨粗しょう症の治療には99.99%意味がない

そして下記の研究から、
参加ストレスが骨粗しょう症と密接に関係していて、
ビタミンCが骨粗しょう症を防ぎ、軽減することが
わかるだろう。


1. 骨内の酸化ストレスの増加(つまりは炎症の増加)は、
高い数値のC反応性タンパクにより、高齢の女性の骨粗
しょう症による骨折の可能性の増加を確実に予測する
(Nakamura et al., 2011 [20936400])
2. 多くの炎症のパラメーターの増加は骨折リスクの
増加に関連している
(Lacativa and Farias, 2010 [20485900])
3. C反応性タンパク質の量と複数のその他の炎症パラメー
ターは、大量のビタミンC投与によって著しく減少する
(Mikirova et al., 2012 [22963460])
4. 骨を形成する細胞、骨芽細胞はビタミンCによって前駆
細胞からの発達を促される
(Carinci et al., 2005 [15777530])
5. 骨芽細胞へと発達する前駆細胞はビタミンCによって増殖
を促される(Choi et al., 2008 [18640597])
6. 骨芽細胞の加速成長に必要なIII型コラーゲンにとって
ビタミンCは必須である
(Maehata et al., 2007 [17306970])
7. 骨を破壊する細胞、破骨細胞はビタミンCによって阻害される
(Gabbay et al., 2010 [20410296])
8. ビタミンCの欠乏は破骨細胞の増殖につながり、骨吸収が増加する
(Hie and Tsukamoto, 2011 [20444587])
9. 脱塩および融和カルシウムの減少を伴う骨量の減少の
総量は、ビタミンC量が一定量消耗されると加速する
(Park et al., 2012 [22974214])
10. 構造強度のために必要な骨コラーゲン(骨基質タンパク
質の90%を構成している)のクロスリンクはビタミンCに
よって強くサポートされる
(Munday et al., 2005 [15946412])
11. ビタミンCサプリメント単独で、高齢者の骨粗しょう症に
よる骨折のリスクが低下する
(Leveille et al., 1997 [9425455])
12. 食事によるビタミンCの摂取(サプリメントによる補給に
比べ非常に量が少ない)と骨折のリスクとは関連性がない
(Sahni et al., 2009 [19347239])
13. 骨粗しょう症による骨折をした高齢患者は、骨折をして
いない患者より、ビタミンCの血中濃度が特に低かった
(Martinez-Ramirez et al., 2007 [18622945])
14. ビタミンCの摂取により、測定した全ての骨部位で骨密
度が増加した。
(Morton et al., 2001 [11149477])
15. ビタミンCは卵巣摘出マウスに生ずる骨量減少を防ぐ
(Zhu et al., 2012 [23056580]
16. ビタミンCは実験的な骨折の修復を大幅に促進する
(Yilmaz et al., 2001 [11510911])
17. ビタミンCは骨折の修復部位の強度を大きく改善する
(Alcantara-Martos et al., 2007 [17356161])

なぜビタミンCを進めるかというと、
手軽に安価に摂取・点滴できるのと、
重度の副作用になることが
0.000001%以下だからである。

他にも、骨粗しょう症の予防として、
血中のリンとカルシウムの関係から
タンパク質の摂取量を減らすことが挙げられるが、
低タンパクの食習慣の弊害が大きいので、
勧められない。

また、ホルモンによる原因での骨粗しょう症では
ホルモン補充療法などがあるが、
ビタミンCと違いお手軽にできない。


最後にカルシウムが有害な栄養素であることを解説したい。

人の細胞内のカルシウム濃度は非常に低く保たれていて、
一般に細胞外の1/10000の濃度である。

(温度差のある水槽の中の温度が均一になろうとすることや
 コップに垂らしたインクが拡散して均一の濃度になろうとすることを、
 熱力学でエントロピーの増大という。)

細胞内の低いカルシウム濃度すなわち、
エントロピーを低くを保つために、
細胞はエネルギーを必要としたり、
細胞自身に負担をかけている。

細胞外のカルシウム濃度が骨粗しょう症で増大すると、
細胞への負担が大きくなり、
細胞内の低いカルシウム濃度が維持できなくなったり、
維持できても細胞内の酸化ストレスの増大につなったりする。

細胞内の高いカルシウム濃度は有害であることは
下記の研究からわかる。


1.細胞内のカルシウムの最大の上昇が最終的に細胞死へとつながる
(Garcia-Prieto et al., 2013 [23250754];
   Schwartz et al.,2013 [23220009])

2.通常、毒素は細胞内のカルシウム濃度を増加させることによって
細胞内の酸化ストレスを上昇させ、最終的には細胞死を引き起こす
(Chi et al., 2012 [23160928];
 Roos et al., 2012[22927718];
 Li et al., 2012 [23049237])

3. 細胞内のカルシウム濃度の上昇がALS(筋萎縮側索硬化症)、
パーキンソン病、アルツハイマー病によく見られる
(Kawamata and Manfredi, 2010 [20493207];
  Surmeier et al., 2011 [21884755];
  Corona et al., 2011 [21697951])

細胞内外にカルシウムを運搬するカルシウムチャンネルというものが有り、
それをブロックする薬としてカルシウムチャンネルブロッカー(以下CCB)
というものがある。

CCBはカルシウムの細胞内への流入を阻害する。
CCBは高血圧に対する薬として使用されることが多いが、
細胞内のカルシウム濃度の増加による疾患に対して
効果を発揮した研究が複数ある。

1. 冠動脈攣縮(Kusama et al., 2011 [21389642])
2. 抗アテローム性動脈硬化(Ishii et al., 2012 [22653165])
3. 肺高血圧症(Montani et al., 2010 [20543192])
4. レイノー現象(Huisstede et al., 2011 [21704799])
5. 急性頭部外傷(Aslan et al., 2012 [22854593])
6. てんかん(Ianneti et al., 2009 [19303743])
7. 化学療法による末梢性ニューロパシー
  (Tatsushima et al., 2013 [23206755])
8. アルツハイマー病(Anekonda and Quinn, 2011 [21925266])
9. パーキンソン病(Pasternak et al., 2012 [22387374])
10. 骨粗しょう症
(ラットを使った研究, Shimizu et al., 2012 [21881574])
11.狭心症(Siama et al., 2013 [23016717])

また、下記のような研究もある。

・カルシウムチャネルブロッカーは総死亡率を減らす
(Gillman et al.,1999 [10323641]; Gibson et al., 2000 [10922432];
 Lubsen et al.,2005 [15716708]; Costanzo et al., 2009 [19451836])

そして、血中カルシウム濃度の増加が主要因で、
カルシウムの石灰化が引き起こされるが
石灰化で興味深い研究がある。

1.最新のMRIで検査すると、前立腺がん患者23人中22人
に前立腺の石灰化がある
(Bai et al., 2013 [23308170])
2.骨密度検査で最も高いスコアをもつ女性は乳がんの発症
リスクが高くなっていた
(Zhang et al., 1997 [9032046])
3.乳がん患者の女性のマンモグラフィーでは、しばしば大型
および微小石灰化所見がみられる
(Holmberg et al., 2013 [23370209])

また、冠動脈カルシウムスコア(CAC、石灰化スコア、カルシウムスコア)
というものがあり、冠動脈(心臓のまわりに這うようにある血管)の
カルシウムの量をCTで数値化したものである。

このカルシウムスコアではスコアが高いほど生存率が低くなることがわかっており、
さらに、ビタミンCとカルシウムスコアには下記のような研究が報告されている。

1.血漿ビタミンC濃度が最も高い男性グループが最も低いCAC
であった(Simon et al., 2004 [15003962])
2.炎症マーカーの増加は常にビタミンC濃度低値が認められ、
CACの進行にも関わる(Alman et al., 2013 [23340891])

さらに細胞内のカルシウム濃度とガンについての研究もいくつかされており、

1.悪性の状態との関係は確立している。また、細胞内カルシウム濃度の
更なる増加はがん細胞の増殖性と攻撃/転移能力を増長させる
(Gudermann and Roelle, 2006 [17158754];
Kaufmann and Hollenberg, 2012 [22453980];
Ryu et al., 2013[23328481])
2.反対に、細胞内からカルシウムを除去すると転移能力を減少させる
(Lin et al., 2010 [20824051])

ここまででカルシウム=有害な栄養素とよくわかったと思うが、
栄養素とあるように最低限なくてはならない。

カルシウムを摂取するときにそのリスクを低くする方法として、
マグネシウムの摂取があげられる。

周期表でマグネシウムはカルシウムの一つ上であるように、
マグネシウムイオンのほとんどはMg++、
カルシウムイオンのほとんどはCa++と
両方共2価のイオンとなり性質が似ている。

そのため、カルシウムチャンネルのカルシウムの通過を妨害する。
(天然のカルシウムチャンネルブロッカーとなる)
なのでカルシウムを摂る時は特にマグネシウムと一緒に摂ると良い。

1. 沈着したカルシウムを融解する
(Steidl and Ditmar, 1990 [2133625])
2.マグネシウム欠乏は細胞内カルシウムを増加させる
(Fox et al., 2001[11811859])
3. 骨密度を増加し骨折の発生を減少する
(Ryder et al., 2005[16274367])
4. 総死亡率を減少させる
(Woods and Fletcher, 1994 [7908076];
Shechter et al., 2003 [12845247])


骨粗しょう症を防いだり、細胞内カルシウム濃度を低く保つために
ビタミンCとマグネシウムを含む下記の方法が有効である。

A)ビタミンC(前述)
B)マグネシウム(前述)
C)ビタミンK
D)必須脂肪酸
E)エストロゲン
F)テストステロン
G)甲状腺ホルモン

(C~Gについてはリクエストがあればその辺も説明します。)

最後にこの情報を提供くださり、掲載を許可を頂きました、
Thomas E. Levy先生に感謝いたします。

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